『女将の磐田めぐり』明治屋醤油:145年続く職人の魂が息づく醤油蔵(浜北編)

やまに女将

こんにちは。
「お食事処やまに」女将の鈴木弘子です。

私は静岡県伊東市・八幡野の出身。
毎日、大室山を眺めながら育った、海と山に囲まれた自然っ子です。

実家は海の見える小さな旅館。
人をお迎えする背中を、両親から見て育ちました。
お客様が笑顔で帰っていく姿が、子ども心にとても好きでした。

その原点が、今の私の女将の仕事につながっています。

磐田に嫁ぎ、「やまに」で大将と二人三脚。
地元・福田漁港のしらすや旬の食材を使いながら、
“体にやさしく、心がほっとするごはん”を大切にしています。

最近は発酵や麹の世界にも惹かれています。
日本の知恵ってすごいなあと、日々勉強中です。
腸が喜ぶごはんは、心まで元気にしてくれると感じています。

着物でお出かけするのも好き。
旅も好き。
人とおしゃべりするのはもっと好き。

お店で見かけたら、どうぞ気軽に
「女将さん!」と声をかけてくださいね。

“また来たよ”のひとことが、私の宝物です。

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女将の磐田めぐり

『女将の磐田めぐり』明治屋醤油:145年続く職人の魂が息づく醤油蔵

~やまにの味を支える、歴史ある醤油との出会い~


はじめに

やまにの料理の美味しさの秘密の一つが、明治8年創業の醤油醸造所である明治屋醤油さんの醤油です。浜松市浜北区小松にあるこの老舗醤油蔵を訪ねた時、代々受け継がれそして私たちが受け継いだ「業と心意気」を大切にして醤油造りを続けていますという言葉に深く感動いたしました。

今日は、やまにの料理に欠かせない明治屋醤油さんの魅力と、そこで出会った職人の想いについてお話しさせていただきます。

145年の歴史が紡ぐ醤油造りの伝統

明治時代から続く醤油蔵の歩み

初代、野末萬吉から数えると現社長一宏氏は5代目になります。温暖な気候と赤石山脈系の豊かな地下水に恵まれたこの地域は、大豆・小麦の栽培さらに醤油造りに適していましたという立地の良さも相まって、小松地区では醤油造りが盛んに行われていました。

かつてこのエリアだけでも3軒の醤油屋があったというが、現在残っているのはわずか1軒のみという状況の中で、明治屋醤油さんは伝統の技術と味を守り続けている、まさに地域の宝のような存在です。

登録有形文化財に指定された醸造施設

特に印象的なのが、杉の壁で覆われた木造3階造りの醸造工場は、昭和初期から中期にかけての醤油出荷量の増加に伴い、3代目が増改築したものだということ。麹造りから仕込み、もろみの貯蔵、搾り、火入れまでの5つの工程の作業場は建物の高低差を巧みに利用して配置され作業が効率的にスムーズに進むように工夫されています。

この建物は登録有形文化財(建造物)にも指定されており、醸造業の歴史を今に伝えている貴重な建造物です。実際に工場を見学させていただくと、先人の知恵と工夫がいたるところに感じられます。

こだわり抜いた醤油造りの技法

時間をかけた丁寧な醸造

原料の大豆や米などの穀類は、麹という菌の「力」と少しの人間の「手間」、1〜2年の「時」の中で発酵熟成し、醤油や味噌になります。この自然の力と職人の技術が融合した醤油造りに、深い感銘を受けました。

現代の大量生産とは一線を画した、昔ながらの製法で丁寧に作られる醤油は、やまにの料理に深みと豊かな味わいをもたらしてくれています。

多彩な醤油のバリエーション

明治屋醤油さんでは、火入れをしていないあっさりした味の生の醤油や、1年半かけて作った醤油に醤油麹を入れてさらに1年半熟成させた濃厚な味わいの再仕込み醤油、自社農園で生産した大豆(茶大豆)と小麦を使い、3年間熟成したまろやかな口当たりの蔵出し醤油など、さまざまな種類の醤油を作っています。

やまにでは、料理に応じてこれらの醤油を使い分けており、それぞれの醤油の特性を活かした味付けを心がけています。

やまにとの深いつながり

料理を支える醤油の力

やまにの花かごランチや一品料理で使用している明治屋醤油さんの醤油やお酢は、特に煮物や出汁に深い味わいを与えてくれます。化学調味料では決して出せない、自然発酵による複雑で奥深い旨味が、素材本来の美味しさを引き立ててくれるのです。

特に、天ぷらのつゆ、煮物の味付けには欠かせない存在となっています。

「おばあちゃんおかあさんの料理の味」への想い

そして私たちの造る醤油を通して「おばあちゃんおかあさんの料理の味」を子供や孫が受け継いでいく、そんなお手伝いができたらと思っていますという明治屋醤油さんの想いは、やまにが大切にしている「家庭的な味」「懐かしい味」という理念と深く通じるものがあります。

お客様から「懐かしい味がする」「おふくろの味を思い出す」というお言葉をいただく時、それは明治屋醤油さんの醤油やお酢が持つ温かみのある味わいによるところも大きいのだと感じています。

文化を伝える取り組み

工場見学と醤油搾り体験

明治屋醤油さんでは、醤油は3つ、味噌は1つの体験コースを設けました。工場見学や醤油搾り体験を通して、醤油造りの奥深さを多くの方に知っていただく活動をされています。

私も実際に体験させていただきましたが、自分の手で搾った醤油の美味しさは格別でした。この体験により、醤油への理解と愛着がさらに深まりました。

地域文化の継承

また、「小松つながり醸造所」は、浜松市浜北区小松地区にある145年の歴史を持つ明治屋醤油の歴史と魅力を伝える団体として、令和3年に発足しました。地域の文化を次世代に伝える活動も積極的に行われており、その姿勢には深く感銘を受けます。

おわりに

明治屋醤油さんとの出会いは、改めて「本物の調味料」の大切さを教えてくれました。半世紀以上働き続けている機材と、所々に残されている役目を終えた機材からは、明治から昭和そして令和へと続いてきた醤油屋の変遷と職人たちの醤油造りへの思いを感じていただけると思います。

やまにでお出しする料理の一つひとつに、このような歴史と想いが込められた醤油が使われていることを、ぜひ多くのお客様に知っていただきたいと思います。

次回やまににお越しの際は、ぜひ明治屋醤油さんの醤油が醸し出す深い味わいを、ゆっくりと味わってみてください。きっと、いつもとは違った料理の奥深さを感じていただけることでしょう。


明治屋醤油株式会社
〒434-0042 静岡県浜松市浜北区小松2276
TEL:053-586-2053
創業:明治8年(1875年)
工場見学・醤油搾り体験:事前予約制


女将より:
明治屋醤油さんの醤油やお酢を使った季節の料理を、やまにの花かごランチでもお楽しみいただけます。伝統の味が織りなす和食の美味しさを、ぜひご堪能ください。皆様のお越しを心よりお待ちしております。

お食事処やまに
〒438-0821 静岡県磐田市塩新田53
TEL:0538-55-5031

 

この記事を書いた人
やまに女将

こんにちは。
「お食事処やまに」女将の鈴木弘子です。

私は静岡県伊東市・八幡野の出身。
毎日、大室山を眺めながら育った、海と山に囲まれた自然っ子です。

実家は海の見える小さな旅館。
人をお迎えする背中を、両親から見て育ちました。
お客様が笑顔で帰っていく姿が、子ども心にとても好きでした。

その原点が、今の私の女将の仕事につながっています。

磐田に嫁ぎ、「やまに」で大将と二人三脚。
地元・福田漁港のしらすや旬の食材を使いながら、
“体にやさしく、心がほっとするごはん”を大切にしています。

最近は発酵や麹の世界にも惹かれています。
日本の知恵ってすごいなあと、日々勉強中です。
腸が喜ぶごはんは、心まで元気にしてくれると感じています。

着物でお出かけするのも好き。
旅も好き。
人とおしゃべりするのはもっと好き。

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