和食の職人が一人前と認められるまでにかかる年数は、一般的に「最低10年」とも言われています。にもかかわらず、三代目・鈴木翔登は9年という修行期間のなかで、旅館・有名店・健康志向の飲食店と、まったく異なる3つのフィールドを渡り歩きました。そして2026年5月、地元・磐田に凱旋し、厨房に立った彼が最初にリリースした新メニューが「太刀魚一閃御膳」です。この一皿に、彼の8年の修行が凝縮されている——そう確信した大将・鈴木保雅は、息子の帰還をどう受け止めたのか。今回は開店準備から閉店まで、お食事処やまにの一日に密着しました。
こんな方におすすめ
- ✅ 三代目の新メニュー「太刀魚一閃御膳」が気になっている方
- ✅ 磐田市でこだわりの和食ランチを探している方
- ✅ 地元食材を使った本格和食を楽しみたい方
- ✅ やまにの厨房の裏側・仕事への姿勢を知りたい方
- ✅ 家族経営の温かいお店でゆっくり食事をしたい方

朝9時の仕込み場——大将と三代目、並んで立つ厨房
静岡県磐田市塩新田。福田漁港から車で10分ほどの場所にあるお食事処やまにでは、開店前の厨房がいちばん静かで、そしていちばん密度の高い時間です。
大将・鈴木保雅(54歳)は毎朝9時過ぎには厨房に入ります。大阪の辻調理学校を卒業し、さまざまな大阪の店で経験を積んで22歳で実家に戻って以来、32年以上この厨房に立ち続けてきました。その横に、今年から並んで立つようになった息子の翔登(27歳)がいます。
「最初は不思議な感じでしたよ。子どもの頃から厨房をのぞいてた子が、いつの間にかちゃんと料理人の目をして立ってるんですから」と大将は苦笑いしながら話してくれました。翔登が高校卒業後に外へ出て9年、実はこの厨房で大将が彼を待ち続けていた時間でもあります。
仕込みでまず目を引くのは、太刀魚の処理です。翔登が包丁を入れる手つきには、伊豆の旅館「お宿みなとや」で叩き込まれた魚の目利きとさばきの技術が宿っています。大将が黙って手元を見つめる。その眼差しには、競い合うというより、確かめるような静けさがありました。
11時30分、開店——「太刀魚一閃御膳」が初めて食卓へ
2026年5月下旬に新発売された「太刀魚一閃御膳」は、翔登が磐田に戻って最初に世に出した料理です。太刀魚といえば、遠州灘でも水揚げされる銀白色の美しい魚。身は淡白でありながら脂がのり、丁寧に調理すれば驚くほど奥行きのある味わいを見せます。
翔登がこのメニューを提案したのは、磐田に帰ってきて間もない頃のことだったといいます。「静岡市内の店で太刀魚の料理を出したとき、お客さんがものすごく喜んでくれたんです。磐田でも、もっとちゃんと太刀魚の良さを伝えたいと思って」。大将に提案すると、「やってみろ」の一言。試作を重ねながら、父と息子でブラッシュアップしていきました。
御膳の構成には、女将・弘子が手仕込みする生姜麹・塩麹が調味料として使われています。麹の柔らかな旨みが太刀魚の甘みを引き立て、「なんでこんなに優しい味がするんやろ」と翔登が調理しながら感じた感覚を、そのまま一皿に閉じ込めました。
ランチの開店(11:30)と同時に、常連のシニアのお客様が「新しいメニューが出たって聞いて」と足を運んでくださいました。翔登が膳を運ぶとき、その声がよく通る。空手を幼少期から高校まで続け、全空連初段を取得した彼ならではの、背筋の伸びた所作と明快な返事は、厨房だけでなく接客の場でも際立っています。
✓ ここまでのポイント
- 三代目・翔登は伊豆の旅館・静岡市内の有名店など3か所で9年間の修行を積み、2026年から磐田のやまに厨房に立っている
- 「太刀魚一閃御膳」は翔登が修行で培った魚の技術と、女将手製の麹調味料を組み合わせた新メニュー
- 大将との二人体制で試作を重ね、2026年5月下旬に正式デビューした
13時15分、ラストオーダー後の静寂——大将の日替わりランチ1,200種の重み
ランチのラストオーダーは13時15分。そのギリギリまでお客様が入ることも珍しくありません。この日の日替わりランチは、大将が考案した1,200種(2026年6月10日現在)のうちの1つです。
「1,200って言われても、自分でもピンとこないんですよ(笑)。ただ、毎日違うものを出したくて、それを続けてたらこうなってた、というだけで」と大将は照れくさそうに話します。辻調理学校で学び、大阪のさまざまな店で腕を磨いた経験が、この膨大なレパートリーの土台になっています。静岡新聞・中日新聞にも掲載されたこの記録は、毎日厨房に立ち続けた34年の証でもあります。
翔登はランチが落ち着いた時間に、大将の賄いを観察するように食べます。「親父の料理は説明しないんです。食べて、自分で考えてみろ、という感じ。それが一番の教科書ですよ」。言葉ではなく味で伝える——師弟関係とも、親子関係とも言い切れない、やまにならではの継承の形です。
「地元の食材を使っていて、特に釜揚げしらすはふっくらとしておいしかった。また来たいと思います」
磐田市在住・60代・女性
17時、夜の仕込み——完全予約制の夜が始まる
夜は完全予約制(6名様以上)。法事の会食、企業の宴会、家族のお祝いと、夜のやまには特別な場面が集まります。この日は宴会のご予約が入っており、翔登が個室の設えを確認しながら、お客様の人数と料理のタイミングを大将と打ち合わせていました。
2階には大宴会場(32名)・中宴会場(20名)・小宴会場(12名)の個室があり、法事や慶事に対応できる間取りが揃っています。磐田エリアは車社会で、夜の宴会では「飲んでも帰れるか」が気になるところですが、10名様以上のご利用には無料のマイクロバス送迎サービスがあります。
「無料送迎があり、安心して飲めました。個室があり、ゆったりと会食できてよかったです」
宴会利用・50代・男性
翔登は接客が好きだと言います。「料理を運んだとき、お客さんの顔がほころぶのを見るのがうれしいんです。旅館での修行でも、お客さまへの丁寧な仕事が一番大事だと教わりました」。空手で培った礼儀正しさと、よく通る声での挨拶は、宴会の場でも自然とお客様を和ませています。
21時、閉店後——大将と三代目が語る「これからのやまに」
片付けが終わり、厨房の灯りが落ち着いてきた頃、大将と翔登は今日の振り返りをします。料理の仕上がり、お客様の反応、明日の仕込みに必要な食材——会話はすべて料理のことに向かっていきます。
「太刀魚一閃御膳はまだ始まったばかり。これから季節に合わせてブラッシュアップしていきたい」と翔登は話し、大将は「俺は毎日違うランチを出し続ける。息子はそこに新しいものを加えてくれたらいい」と静かに言いました。52年の歴史を持つお食事処やまには、今まさに世代をまたいだ新章に入っています。
女将・弘子が仕込む麹調味料が料理の縁の下を支え、大将が積み上げた1,200種のランチがお客様の日常に根を張り、三代目の新しい感覚が次の時代へと引き継がれていく。磐田市塩新田の小さな和食店に、そんな豊かな時間の流れがあります。
まとめ——三代目の一皿に会いに、磐田へ
修行8年が凝縮された「太刀魚一閃御膳」は、三代目・翔登の挑戦の出発点です。福田漁港から届く新鮮な魚、女将が手仕込みする麹調味料、大将が守り続けてきた和食の基本——それらが一つの膳に集まったとき、遠州・磐田の食の豊かさが改めて感じられます。
ランチは火〜日曜11:30〜(ラストオーダー13:15)、夜の宴会・会食は完全予約制(6名様以上)で承っております。法事・お食い初め・お祝いの会食など、ライフイベントのご利用もお気軽にご相談ください。送迎バスのご相談も、お電話にてお受けしています。
ご予約・お問い合わせはお電話または便利なネット予約をご利用ください。心を込めてお待ちしております。
📞 お電話でのご予約・お問い合わせ(受付時間 10:00〜19:00):0538-55-5031


コメント