和の調味料の魅力:味醂の魔法
照り・コク・甘み──日本の家庭料理に欠かせないこの3つの要素を、たった一本で叶えてしまう調味料。それが「味醂(みりん)」です。
いぶし銀のような存在ながら、料理をぐっと引き立てる縁の下の力持ち。今回は、そんな味醂の魅力と使い方について、和食を愛する女将の視点からご紹介します。
味醂とは?──酒でも砂糖でもない、その正体
味醂は、もち米・米麹・焼酎(または醸造アルコール)を原料に、数か月〜1年以上かけてじっくり熟成・発酵させた日本独自の調味料。見た目はお酒に似ていますが、実はれっきとした「調味料」であり、料理に使うことを前提としたお酒です。
味醂には大きく分けて以下の3種類があります:
- 本みりん:本格的な伝統製法でつくられた本物の味醂。アルコール度数は13〜14%ほど。
- みりん風調味料:アルコール分がほとんどなく、糖分やうま味調味料を加えたタイプ。
- 発酵調味料(加塩みりん):酒税法対策で塩が加えられており、そのままでは飲めないもの。
やはり一番風味豊かで料理に深みを与えるのは「本みりん」。
味醂がもたらす3つの魔法
1. 照りを出す
みりんの糖分が加熱されることで、表面に美しいツヤと照りが生まれます。焼き魚、煮物、照り焼き──その「見た目の美味しさ」を引き出すには、味醂の力が欠かせません。
2. コクを加える
発酵により自然に生まれたアミノ酸や有機酸が、料理に深いコクを与えます。だしや醤油だけでは出せない、奥行きのある味わいが完成します。
3. 甘みをつける
砂糖とは異なる、やわらかく上品な甘みが特徴。煮物や和え物にも使いやすく、味に丸みを持たせてくれます。
実践!味醂を使った基本の和食
◎肉じゃが
味醂を加えることで、煮崩れしにくくなり、具材にしっかりと味が染みこみます。砂糖の量を減らしても、まろやかな甘みを楽しめます。
◎鰤(ぶり)の照り焼き
本みりんで仕上げたタレを絡めながら焼くと、皮目に美しい照りが。冷めても味が落ちにくく、お弁当にもおすすめです。
◎茶碗蒸しの下味に
出汁と醤油に少量の本みりんを加えると、上品でまろやかな味わいに。
味醂の保存と使い方の注意点
- 本みりんはアルコールを含むため、開封後は冷暗所保存がおすすめ
- みりん風調味料は開封後は冷蔵保存が無難
- 加熱することでアルコール分が飛ぶため、お子様でも安心
女将のひとこと
「味醂って、いつも脇役。でも、料理の味が決まらないとき、最後にちょっと入れるだけで『おっ!』となる。和食に欠かせない“しっとりとした華”みたいな存在ですね。やまにの煮物や焼き魚にも、必ず登場しますよ。」
まとめ
味醂は、日本の和食文化を支える大切な調味料。味付けだけでなく、見た目や香り、口当たりまでを整える名脇役です。ぜひご家庭でも、本みりんを使った料理にチャレンジしてみてくださいね。
お食事処やまにでは、味醂をはじめとする和の調味料を活かした料理を、心を込めてお届けしています。
釜揚げしらすや旬食材を使った和のお料理とともに、味醂の魔法を感じてみませんか?
お食事処やまに 女将 鈴木弘子
住所:静岡県磐田市塩新田53
電話:0538-55-5031(受付時間 9:30~19:00)
公式HP:https://yamani-iwata.com
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